Research projects

関連する研究プロジェクト

AMATERASSおよびその前身・関連する静止衛星放射解析技術が関わった主な研究プロジェクトを、公開されている政府・研究機関資料に基づいて年代順に整理しています。

研究プロジェクトを通じた技術展開

各項目では、まず所管機関と制度・事業の正式名称を示し、その下に研究領域、採択課題・FS課題等を区別して記載します。あわせて、各プロジェクトの中でAMATERASSの解析・データがどのように利用され、どの機能や対象領域が拡張され、どの運用が継続されたのかを整理しています。

2007–
気候診断・衛星解析基盤
所管・制度
文部科学省 特別教育研究経費 4大学連携VL

プロジェクト正式名称地球気候系の診断に関わるバーチャルラボラトリーの形成

気候診断VLプロジェクト。特別教育研究経費による事業として開始し、その後は一般財源化され、4大学連携VLとして継続。

プロジェクトの目的

東京大学、千葉大学、名古屋大学、東北大学の4研究センターが、それぞれの観測・衛星・数値モデル研究を連携させ、地球気候系を総合的に診断する「バーチャルラボラトリー」を形成した大学間連携プロジェクトです。千葉大学CEReSは、気候診断に用いる衛星データの整備・公開、地上検証観測網の整備、静止衛星による地表面・大気上端の放射収支推定などを担当しました。

AMATERASSとの関係

AMATERASSの準リアルタイム解析は、このプロジェクト開始年度の2007年7月に運用を開始しました。VLの枠組みでは、ひまわりのフルディスク観測領域を対象とした準リアルタイム解析を継続する一方、GOES-E/Wなど複数の静止衛星へ解析を展開し、各衛星領域の解析結果を組み合わせた全球放射プロダクトの作成・検証も進められました。SKYNET・BSRNによる地上検証や太陽光発電分野への利用検討もこの時期に進められています。VLが一般財源化された後も、AMATERASSの開発・運用とデータ提供は継続されました。

公開資料で確認できる事項

VLは2007年度に文部科学省・特別教育研究経費として開始しました。時限的な経費による実施後も4大学連携VLとして活動が継続され、講習会・研究連携・データ基盤運用等が行われています。千葉大学の研究計画資料には、衛星アーカイブ、放射収支推定、地上検証をCEReS側の主要課題として明記しています。

2011–2013
太陽光発電・出力把握
所管・事業
経済産業省・資源エネルギー庁 担当:電力基盤整備課

事業正式名称太陽光発電出力予測技術開発実証事業

上位施策:再生可能エネルギーの安定供給確保

プロジェクトの目的

太陽光発電の大量導入を想定し、電力系統の需給運用に必要となる発電出力の現況把握と予測技術を開発・実証した事業です。衛星画像、気象データ、地上日射観測、発電実績など複数の情報を用いて、面的な日射量把握と太陽光発電出力推定の精度向上が検討されました。

AMATERASSとの関係

本事業では、AMATERASSで生成していた1 kmメッシュの衛星推定日射量が、太陽光発電出力の現況把握・予測に用いる入力データとして利用されました。経済産業省の事後評価資料にも、「気象衛星データを用いた日射量推定」の入力として「衛星推定日射強度(東京大学竹中栄晶氏作成)」が明記されています。この衛星推定値を地上観測値で補正し、電力系統の需給運用に適した面的日射量推定の精度が評価されました。

公開資料で確認できる事項

事業期間は2011~2013年度。公式評価資料には、衛星推定日射強度、PV300・気象官署の観測値、1 kmメッシュ出力を組み合わせた手法が図付きで記録されています。

2012–2020
地球科学 × EMS
所管・制度
科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST

研究領域分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論及び基盤技術の創出と融合展開

プロジェクトの目的

再生可能エネルギーを含む供給側と需要側を分散協調的に扱うエネルギーマネジメントシステム(EMS)の理論・モデル・基盤技術を、制御、電力、情報、経済、地球科学などの異分野連携で構築したCREST研究領域です。地球科学側では、日射量、風、地上気温などを衛星観測・大気モデル・地上観測から実況・予測することが課題となりました。

AMATERASSとの関係

CREST採択以前から、AMATERASSでは静止気象衛星による日射量解析と準リアルタイムデータ提供を継続していました。本研究領域では、その衛星日射量プロダクトを再生可能エネルギー利用を支える地球科学情報の一つとして用い、地球物理量の実況・短時間予測、太陽光発電への利用、EMSとの接続へと活用範囲が広がりました。研究期間中もAMATERASS側では解析系の更新、データ生成、アーカイブおよび提供を継続し、2018年度報告ではEMS関連データを時空間的に共有・可視化するプラットフォームにもAMATERASSが組み込まれています。

2012–2014
太陽熱・直達日射
所管・制度
経済産業省 新エネルギー等共通基盤整備促進事業

課題名中高温太陽熱利用調査及び各種システム評価法開発

株式会社三菱総合研究所からの再委託事業として平成24~26年度に実施。

プロジェクトの目的

産業分野を中心とする中高温熱需要への太陽熱導入を対象に、国内の利用可能性調査と事業性評価のための技術基盤整備を行った3年間の事業です。公開報告書では、直達日射量の測定・推計、集光シミュレーションコード、集熱レシーバ評価、IEC TC117における国際標準化が主要項目として整理されています。

AMATERASSとの関係

千葉大学CEReSの公開年報には、本事業でAMATERASSデータが「基礎データとして利用」されたことが明記されています。AMATERASSで扱っていた太陽放射プロダクトの利用先が、太陽光発電に加えて、集光型太陽熱利用で重要となる直達日射量の評価へ広がった事例です。

2013–2015
農業・食糧安全保障
所管・制度
文部科学省 宇宙科学技術推進調整委託費 / 宇宙科学技術利用促進プログラム

採択課題食糧安全保障に向けた衛星入力を活用した環太平洋域での広域収量推定および短期予測の試み

平成25年度採択。委託先:千葉大学。

プロジェクトの目的

衛星観測で広域に得られる日射量・降水量を入力として、統合陸面過程モデルと作物生長モデルを接続し、環太平洋域での作物収量推定と1~5日先の作物生長予測を行う研究です。主管機関は千葉大学、共同実施機関は京都大学、JAXA、名古屋大学で、2013~2015年度に実施されました。

AMATERASSとの関係

文科省の事後評価では、モデルへ与える日射入力として「EXAM」が記載され、JRA-55・EXAM・GSMaPを用いた過去解析から速報解析、近未来計算までが接続されています。本課題へのデータ供給にあわせてEXAMの再解析・アーカイブを整備し、ひまわり8号への移行時には幾何補正精度と処理速度を改善しました。正式運用前には一連の処理を約140秒で完了する解析系が構築され、AMATERASS系の高頻度日射量が陸面・作物モデルへ直接入力されました。

公開資料で確認できる事項

EXAMを用いた日本域の感度実験では、短波収支の観測値との決定係数が従来式の0.6~0.7から0.95へ改善し、顕熱・潜熱フラックスも改善したと事後評価に記録されています。なお、報告書自身が「EXAM開発は別プロジェクト群、本課題は再解析・アーカイブ等を担当」と役割分担を明記しています。

2016
全球展開FS
所管・制度
文部科学省 地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム / 基幹アプリケーションFS

FS課題静止気象衛星群より導出された太陽放射・太陽光発電量推定の世界展開

平成28年度採択。代表機関:千葉大学。DIASを活用した社会実装・国際展開のフィジビリティスタディ。

プロジェクトの目的

2016年度に採択された基幹アプリケーションのフィジビリティスタディ(FS)で、ひまわり領域で運用してきた太陽放射・太陽光発電量推定を複数の静止気象衛星へ展開し、世界規模で利用する実現可能性を検討しました。千葉大学を中心に、JAXA、東海大学、NICT、ウェザーニューズなどが連携しました。

AMATERASSとの関係

本FSでは、ひまわり領域で運用していたAMATERASSの太陽放射・太陽光発電量推定を、複数の静止気象衛星へ展開する構想が検討されました。提案資料では、AMATERASSの大気放射解析に、雲・エアロゾル量、ユーザー/データインターフェース、高速通信技術を組み合わせ、DIASをデータ基盤として国際利用へ接続する構成が示されています。ここで検討されたのは世界展開の実現可能性であり、完成した全球運用システムとは区別しています。

公開資料で確認できる事項

DIASの社会実装資料では、平成28年度に交通、防災、再エネ、健康、農業など8件の基幹アプリケーションFSを採択したとされ、本課題は再エネ分野のFSとして掲載されています。

2020–2027
中央アジア・国際共同研究
所管・制度
JST・JICA 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)

研究課題アラル海地域における水利用効率と塩害の制御に向けた気候にレジリエントな革新的技術開発

JST側の正式資料では「国際科学技術共同研究推進事業/地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」、研究領域「地球規模の環境課題の解決に資する研究」。相手国:ウズベキスタン共和国。

プロジェクトの目的

アラル海周辺で深刻化する水不足・塩害・干ばつに対し、気候データ、地球観測、灌漑・排水管理、塩生植物などを組み合わせ、水資源量・蒸発散量・作物生育を把握しながら持続可能な農業モデルを構築する日本・ウズベキスタン共同研究です。日本側研究代表者は京都大学防災研究所の田中賢治教授です。

AMATERASSとの関係

中央アジアはひまわりの観測範囲外にあるため、本プロジェクトではAMATERASSの解析対象をMeteosat IODC(MSG)へ拡張しました。SATREPS実施報告書では、まずMeteosatの過去データを解析し、その結果をもとに準リアルタイム処理を開発・実装する研究計画が明記されています。関係機関向けの日射量プロダクトは30分間隔・0.1度格子として設計され、ひまわり領域で継続してきた解析・データ提供を中央アジアへ展開する位置づけとなっています。

JST側研究期間
2020年8月1日~2026年3月31日(正式契約移行日:2021年10月1日)
国際共同研究期間
2022年7月21日~2027年7月20日。JST側の研究期間終了後も、相手国との国際共同研究期間は2027年まで設定されています。